襷インタヴュー | 高橋聡さん・高橋賢斗さん「ライフジャケットが活躍する場面に出くわすと思ってなかった」
高橋さん親子は、神奈川県の海で錨泊して釣りを楽しんでいたところ、
他のプレジャーボートに衝突されました。
思いもよらない衝突により、船は転覆し、船から投げ出された2人。
しかし、大きなケガはなく、ライフジャケットを着ていて助かったといいます。
当時の様子や、ライフジャケットを着る理由などについてお話を伺いました。
ー 当時の様子を教えてください。
聡さん:当日は、息子と、 年賀状に載せられるようなものが
釣れるといいねって言いながら
真鯛釣りを目的に(プレジャーボートに乗って)行って、
朝6時半くらいにポイントについて
アンカーを落として釣り始めて、1時間半くらいして
1匹あがったんです、真鯛が。
で、年賀状に載せようと思って写真を撮って、
そうして30 分くらいしているうちに
結構船の往来が多くて、
視界もいいし、気にはしていたんですけど、
相手船が近づいてきて、船首はこっち向いたまま、
進路も変えないし、スピードも変わらないから
「あいつ、本当に大丈夫なのかなー」と言っているうちにどんどん近づいてきて
結局、何もすることもできずに気づいたらドーン(衝突された)という感じですね。
ー 2人とも海に投げ出された?
聡さん:気づいたら船は転覆してて、2人は海に投げ出されて、浮いている状況で、
息子は足が痛いと言うので、なんか怪我したか、足を骨折したか、どこかぶつかったかな
と思って結構パニくっていたみたいで、相手船がすぐ旋回して引き上げてくれたので
相手のマリーナにすぐに向かって、身体的にはなにもなかったんですけど、
結局ライフジャケットを着ていたので、浮いているところを拾ってもらえた。
幸いにも怪我がなくてよかったなーという感じですかね。
ー 当時も腰巻の自動膨張式を着けていた?
聡さん:自動膨張を買ったような、安く買ったからもしかしたら手動だったかな?
という半信半疑で、いざという時は開くんだなーと思いました。
ボンベを変えて同じものをつけているんですけど、
タブレットが溶けてボンベのガスが入っていく
仕組みになっていることを改めて知りました。
ー ライフジャケットを着るきっかけはなんですか?
聡さん:ルールにもなっていますし、船長として息子を(水辺に)連れて行く以上
なんかあったときに着ていないといけないし、
着せるのが親の役目だと思います。
着せる以上自分も着ていないと説得力もないし、必ず着けていました。
まさかそれが活躍する場面に出くわすとは思ってなかったです。
ー 2人とも泳ぐのは得意ですか?
聡さん:自分は水泳は習っていて、息子にも習わせているので
そこそこ泳げるんですけど、
やっぱり、あの状況で着ていなかったら泳げても助かったのかな…
自分が助かったとしても、息子が浮いてなかったら助けにいけないし、
どこにいるかもわからないですからね。
よかったなとは思いますけどね。
ー 海に落ちる瞬間はどんな感じでしたか?
賢斗さん:何にも考えられない感じでした。
ー 浮いているな、という感じはありましたか?
賢斗さん:それは、ありました。
ーライフジャケットがなかったどうなっていたと思いますか?
賢斗さん:たぶん、泳げなかったと思います。
聡さん:まず自分が浮いてないと、
自分が大丈夫だという状況で「息子は?」って見ると浮いていたから大丈夫かと
そこで周りを見渡して、いなかったら、どうすることもできないですもんね。
浮いていてくれたら、怪我していてもなんとかすることができると思うんですけど
浮いていなかったら探しようもないので、あきらめるというか…どうにもならないですよね。
だから、やっぱり…
改めて、よかったな、怪我してなくて、着けていてよかったな。
「おれは泳げるから大丈夫だ」って多少思う部分はあったと思うんですけど、
経験して、何が起きたかわからない状況で泳げるかというと…無理かな。
無理=「死」っている感じになっちゃうので、
これからも着ようとは思いますけどね。
ー 周りの状況をもう少し教えてください。
聡さん:こちらの船は小さくて、360度見るために
息子にも船が近づいてきたり、「危ないなって思ったら言って」といつも話していて、
自分は反対側を見ながら釣りをしていて
船の往来も多くて、だいたいの船が結構な勢いで近くを通って行くので
引き波で落ちないように気をつけようとはしているんですけど
その日に限ってまーっすぐにこっちに来るので
「本当に見えているのかなー」って
周りに船もいたので、近くに来たら避けてくれるだろう
と思っていたら、まさかまさかでこっちに近づいてきた。
エンジンをかけて前後できるようにしておくことだったり
アンカーロープを切ればよかったり、
っていう話は後からされたりしたんですけど、
まー今思い返しても、その状況で何かアクションを起こせるか
って言われると起こせないし、
衝突されなくても、近くを往来する船はあるので
その都度そういう風なリアクションをとっていたら
釣りもしていられないと思う。
ー 気づいてもらうためには何ができるのでしょうか?
聡さん:現実的に早めに気づいてもらえるように
それからはエアホーンと黒球にプラス、
旗を高く掲げるようにしています。
小さいですけど、「ここにいるよ」ってアピールするようにしています。
ー 事故のあともライフジャケットを着て釣りには行くんですか?
聡さん:そうですね、はい。
ー奥さまの反応は?
聡さん:「怪我なくてよかったね」と。
何も言わないですけど
行く以上は(着ることが)当然な義務だと思っていますし、
着ないと不安だし、海に出る以上は
最低限必要なんじゃないかなと思います。
ー最後に、海は好きですか?
賢斗さん:好きですね。
ーこれからも釣りを楽しみたい?
賢斗さん:最近はあまり行かなくなったんですけど、
またちょっと時間をおいて行けるようにしたいと思います。